本記事の内容:
- ラッキーバンクの事件とは?
- 事件の時系列〜遅延件数
- ラッキーバンクの今後の展開
2019年1月、ソーシャルレンディングで人気だったラッキーバンクが不正貸付で出資者たちから訴えられました。
親族会社への不正、債権の売却で2億7,000万円の賠償を求める訴訟です。
高い利回りと毎月の分配金、数万円からの少額投資でメディアにも取り上げられていましたが、2019年9月現在は事実上の廃業状態にあります。
ソーシャルレンディングには出資者を守るルールはあるものの、投資である以上危険はつきものです。
ラッキーバンクのケースを詳しく見ていきましょう。
タップできる目次
事件の経緯

高い利回りでとくに人気だったラッキーバンク。
新しいファンドが発表されるたびに、早い者勝ちで枠が埋まっていきました。
設立からわずか4年で150億円の資金が集まるほどやり手だったのです。
しかし、問題が露呈しはじめたのは2018年3月。
- ファンドの貸付先が代表取締役の親族の会社ばかりだった
- 経営不振の会社の貸付審査で資産・売上を水増しして審査を通過させた
- 担保である不動産の査定が正しくない
証券取引等監視委員会から業務改善命令を受けました。
実績や担保を審査して、見合った金額を投資するのが当然ですが、投資先と運営会社がタッグを組んでは出資者はひとたまりもありませんね。
業務改善命令から2ヶ月後、ラッキーバンクのファンドすべてで遅延になりました。
その後、債権回収会社へ債権を譲渡しましたが、元本の3割程度しかお金は戻ってきませんでした。
この債権は49億円あり、本来ならば競売にかけるなどして少しでも多く回収します。
しかし、ラッキーバンクはそれも行わずに、3分の1の約16億円で売却しました。
複数の会社を検討するのではなく、1社にあっという間に売却したのです。
おそらく売却先も親族会社なのでしょう。
出資者45人が2億7,000万円の賠償金を求める訴訟を起こしました。
ラッキーバンクは2019年3月に2度目の業務改善命令を受け、今は完全に停止しています。
▼事件の経緯
2014年5月 | ラッキーバンク・インベストメント株式会社 設立 |
2014年12月 | ラッキーバンク サービス開始 利回りの高さと担保付で注目を集める |
2018年2月 | 証券取引等監視委員会がラッキーバンクに業務改善命令をだす |
2018年3月 | 出資者らに説明会を開く |
2018年5月 | すべてのファンドで遅延を発表 |
2018年12月 | 債権回収会社へ債権を3分の1で譲渡 |
2019年1月 | 出資者ら45人がラッキーバンク・インベストメントらを提訴 |
2019年3月 | 関東財務局が第二種金融商品取引業の登録取り消し処分 →事実上の廃業 |
現在の元本毀損額・遅延件数

累計調達資金 | 15,529,450,000円 |
状 況 | 件 数 | 金 額 |
運用中 | 3件 | 96,620,000円 |
終 了 | 521件 | 10,505,920,000円 |
放棄(分配元本金額) | 298件 | 4,926,910,000円(1,592,068,844円) |
約50億円が放棄されている事実……投資は元本割れすることは珍しくありませんが、運営会社もグルでおこなっているには悪質ですね。
これまでの状況・今後の展開
ラッキーバンクを運営しているラッキーバンク・インベストは2014年に設立しており、同年にソーシャルレンディング事業を開始。
わずか4年で150億円の資金を集めるまでに成長しました。

商標名 | ラッキーバンク |
運営会社 | ラッキーバンク・インベストメント株式会社 |
所在地 | 東京都中央区八重洲一丁目1番3号 壽ビル9階 |
代表者 | 代表取締役 田中 翔平 |
設 立 | 2014年5月1日 |
資本金 | 2億3,100万円 |
事業内容 | ソーシャルレンディング事業 |
電話番号 | 03-6262-3477 |
サービス開始 | 2014年12月 |
募集したファンドの多くは高金利。中には10%を超える案件も存在しました。
銀行では金利がつかない状況での利回り10%は魅力的だったのは事実。
▼募集していたファンド

人気が出た理由がわかります。
それぞれのファンドは厳しい審査を受けて、さらに担保として不動産物件を用意しています。
2段構えの安全策だったはずですが、親族会社にはズブズブ。
2018年:経営不振にも関わらず親族会社の審査を通し、親族会社の担保の不動産価値を水増しした
2019年:債権を3分の1の価格で売却
問題が露呈した2018年、発覚から2か月が経過した時点ですべてのファンドの支払いが遅延。
それから債権を譲渡するまでに「あおい法律事務所」がラッキーバンクの訴訟の説明会を行いますが、問い合わせが殺到で1週間ほどで締め切られました。
第二種金融商品取引業の資格はソーシャルレンディングをやるうえでは欠かせないもの。
現在は、それが登録取り消しになり廃業状態となっています。
▼参考:金融庁関東財務局からの行政処分
1.ラッキーバンク・インベストメント株式会社(本店:東京都中央区、法人番号3010001160426、第二種金融商品取引業)(以下「当社」という。)は、当社ウェブサイト及びウェブサイト内の会員ページにおいて、法人向けローンを出資対象事業とする匿名組合(以下「ファンド」という。)の出資持分の取得勧誘を行い、その出資金により貸付事業を行っていた。
当社については、検査の結果、貸付先の審査及び担保物件の評価につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為が認められたことから、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第51条の規定に基づき、「顧客からの問い合わせ等に対しては、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること」などを改善項目とする業務改善命令が発出された(平成30年3月2日付。以下、当該業務改善命令を「本件業務改善命令」という。)。
償還の見込みは…ほぼない
今後の運営が絶望的である以上、最後の希望は債権の売却でした。
しかし、ラッキーバンクは3分の1の安値で手放し、残りは貸し倒れとなりました。
出資者に戻ってくるお金も3分の1になりました。
出資者の45人が損害賠償請求訴訟を起こしたのは2019年1月、それ以降、目立った動きはありません。
裁判となっても、かけたお金の大半は戻ってこない可能性が高いです…。
現在は停止中
すでにソーシャルレンディングに必要な金融商品取引業の登録を取り消されており、ソーシャルレンディングは廃業状態です。
これは、トラストレンディングを運営していたエーアイトラストに続いて2社目。
ソーシャルレンディングの性質上、取引の細部を出資者が確認することはできません。
投資の知識はなくても、信頼たる運営会社を見極めることが重要ですね。
分配金が届いた
1円#ソーシャルレンディング #ラッキーバンク #投資 #田中翔平 #ラキバン pic.twitter.com/KUZlTbz8Cs
— ぅぴ (@unitttttt) May 11, 2018
今月のラッキーバンクの
分配金2円支払われたんだけど
これ銀行に直接振り込むってマジ?(^_^;) pic.twitter.com/k4I0pGHlCO— いそ@深夜ゲーマー (@iso1222) May 11, 2018
ラッキーバンク、残りは全部延滞案件なので、来月以降の分配金は3円に!
分配予定額から延滞分の金額が消えました。 pic.twitter.com/lk9pzgi7CV— れんだー (@slgmar) May 11, 2018
すずめのなみだ程度の分配金…頼みの綱であった債権売却も3分の1で売却されたので、出資者に戻ってくるお金も3分の1に目減りしています。
3分の2の損失は許せません。
ほんとそれですよ。1~2ヶ月程度の遅延なら待つのもアリだけど、1年も延長されたらたまらないですよね。なら担保をすぐにでも現金化するか、それが出来ないならクラウドクレジット自身が投資元金を投資家に返すという選択肢を我々に与えるかしてくれないと。ここもみんクレやラッキーバンクと同じか?
— しかばね太郎、 (@shikabane01141) January 30, 2019
ラッキーバンク(ソーシャルレンディング)からついに『遅延中の債権50億円をたったの16億円でサービサーに譲渡を完了した』とのメールが来ました。
50万円投資していた自分のお金も『153,000円』で返すとの通知メールが来ました。
何も言えないです。
結局、痛い目見るのは我々、個人投資家だけかよ。— アキラ@『金の卵を産むガチョウ資産&投資術』 (@takahama_akira) January 7, 2019
みんなのクレジットとラッキーバンクで損を出しても、他のソーシャルレンディングに投資する勇者もいます。
たしかに別の会社であり、真面目に運営しているところの方が多いです。
みんクレとラッキーバンクでやられたけど、CREALとfunds申し込んでみた
別物だよね?
— とっしーFX@にんにくポン酢風味 (@tossy17fx) July 21, 2019
(参考)他にトラブルを起こした会社
- トラストレンディング:50億円以上の遅延
- maneoファミリー:ファミリー内の会社の大規模遅延
トラブルを起こした会社をソーシャルレンディングの貸し倒れ(デフォルト)・遅延一覧でまとめているので、危険なソシャレン会社の判断材料に利用してください。

まとめ:ラッキーバンク事件

投資した資金の大半を失う事態となったラッキーバンク事件。
ソーシャルレンディングのすべてが危険というわけではありませんが、ひとりの投資家として無視のできない事件でした。
出資者の中には裁判を起こしたくとも着手金が用意できずに、泣き寝入りを覚悟している人も……。
ソーシャルレンディングは今まで投資に興味がなかった人でもかんたんにできるほど手軽です。
運営会社も借入人も共に増えていくことが考えられます。
日本国内だけでなく、将来的には海外の案件を取り扱うところも出てくることでしょう。
高い利回りと担保だけでなく、投資先の安全性と公平性、経営者のことも調べた上で投資をすることをおすすめします。
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