本記事の内容:
- トラストレンディングの事件とは?
- エーアイトラスト社の企業情報
- 今の運用・支払状況
- 今後の展開について
ソーシャルレンディングはほったらかしで投資ができるため人気があります。
しかし、運営会社の中には本来の目的から逸脱したことに資金をあてるという悪質なケースも確認されているのです……。
今回お話をするトラストレンディングは、2019年3月に行政処分を受け、同年8月にソーシャルレンディングに必要な資格の廃業届を提出。
2019年12月現在では完全に停止しています。
ソーシャルレンディングそのものが比較的新しいサービスであるため、様々なことが起こりえます。
詳しく見ていきましょう!
タップできる目次
トラストレンディング:事件の経緯

ことの発端は、新東名高速道路の工事を国土交通省とNEXCO中日本が発注したことから始まります。
それをゼネコンの清水建設→元請負会社の建設会社が受注しました。
トラストレンディングは工事費用として資金をつのり、建設業者に貸付。
最終的には元請負会社から入る工事代金でトラストレンディングへ返済し、出資者たちにお金が戻ってくるはずでした。

出資者たちには清水建設が受注した公共事業であり、元本割れのリスクも少ない安全な投資先と説明。
実際に東名高速道路の4工事は存在しています。
ですが、借り手である勝鬨建設と元請と言われている栄伸との間に4工事の全てにおいて契約が結ばれていなかったという行政の指摘でした。
ソーシャルレンディングの性質上、投資先の情報はかなり制限をされています。投資家が細部まで知ることはできません。
しかし、存在しない工事のために資金を募る行為は虚偽の説明です。
ほかにも公共事業コンサルのファンドと燃料卸売ファンドで同様の指摘があり、2019年3月に第二種金融商品取引業の登録は取り消されました。


この問題になったファンドを紹介したのは取締役だった元財務省の山本幸雄です。
出資者分だけで15億円の流出になりました。
取締役からの紹介とはいえ、投資事業が存在しないのに資金を集められることがおかしいですね。
管理がずさんとかいうレベルではありません。
一連に関わった者たちすべてががグルと考える方がしっくりきます。
現在の元本毀損額・遅延件数(2019年12月現在)
行政処分を受けた今でも、50億円以上を運用しています。
しかし、その中には虚偽ファンドも含まれ、状況が厳しいことに変わりはありません。
運用中金額 | 5,173,514,689円 |
出資者人数 | 3,263人 |
ファンド名 | 事業の実在性 | 出資金額 | 運用状況 | 遅延状況 |
債権買取ファンド | 〇 | 約4億円 | 運用中 | 遅延中 |
船舶艤装品ファンド | 〇 | 約5億円 | 運用中 | 遅延中 |
大型船舶建造ファンド | 〇 | 約5億円 | 運用中 | 遅延中 |
燃料卸売ファンド | 〇 | 約5億円 | 運用中 | 遅延中 |
大型重機ファンド | 〇 | 約1億円 | 運用中 | 遅延中 |
IoT実証検証ファンド | 〇 | 約3億円 | 運用中 | 遅延中 ※実証実験は行われているが、大手企業との提携は虚偽 |
高速道路ファンド | × | 約16億円 | 支払停止中 | 虚偽のファンド元請負会社から資金回収をすすめている |
除染事業ファンド | × | 約6億円 | 支払停止中 | 資金返還、遅延損害金請求中※追加担保の不動産売却について状況報告を要求中 |
公共事業コンサルファンド | × | 約3億円 | 支払停止中 | 資金返還、遅延損害金請求中※追加担保の不動産売却について状況報告を要求中 |
9つのファンドのうち3つが虚偽、1つが確証の無い売上を掲げていました。
大型船舶ファンドなどは建造がすすんでいて、運用中といえば運用中ですが、肝心の支払は遅延中です。
これまでの状況・今後の展開
トラストレンディングを運営していたエーアイトラストの会社情報は以下のとおり。

商標名 | トラストレンディング |
運営会社 | エーアイトラスト株式会社 |
所在地 | 東京都港区芝浦4丁目12番39号 |
代表者 | 代表取締役 松本卓也 |
設 立 | 2005年6月 |
資本金 | 100,000,000円 |
事業内容 |
金融コンサルティング業務 M&Aアドバイザリー業務 ファイナンシャルアドバイザリー業務 企業再生支援事業 金融関連ソフトウェア開発業務 金融事務受託業務 |
電話番号 | 03-6271-9080(代表) |
サービス開始 | 2016年11月 |
主要案件 | 公共事業など |
ソーシャルレンディングは出資者を守る仕組みがあるとはいえ、元本割れ等のリスクがないとは言えず、できる限りリスクが少ない事業へ投資したいと考えるのが常。
その結果、公共事業や立地がいい不動産などに集中します。
トラストレンディングが取り扱っているファンドはまさにそれでした。
2015年11月からトラスレンディングはサービスを開始。
年間募集額:
- 2016年:約12億5千万円
- 2017年:約17億円
- 2018年:年50億円以上
2018年に一気に募集額が増えます…同年に問題の山本幸雄氏が取締役に就任しています。
この山本幸雄氏という人物は投資家たちの間では危険人物となっており、過去に昭和ゴムの巨額資金流失に関与していると言われているのです。
2018年12月関東財務局から1ヶ月間の業務停止命令を受け、2019年3月同局から第二種金融商品取引業の登録取り消し処分。
取締役への資金流失も発覚しました。
今後の展開…投資金を取り返せるかは微妙
民事での裁判は決していますが、詐欺事件にも関わらず刑事訴訟はしていません。
出資者たちのお金だけでなく、トラストファンディングのお金もだまし取られているにも関わらずです。
元請会社、山本幸雄氏、トラストファンディングすべてがグルならば、投資した元本が戻る事は期待できません。
とくに高速道路工事ファンドの資金は使途不明で返金は期待薄。
現在はあおい法律事務所と訴訟プラットフォームenjin(えんじん)にて集団訴訟を募集しています。
しかし、どの程度取り戻せるのかは疑問…。
現在は停止中!評判まとめ
毎月分配型を売りにしていたトラストファンディングですが、2019年9月度の分配金の支払はすべて停止しています。
虚偽のファンドだけでなく、すべてのファンドにてです。
すでに事業に必要な資格が取り消されているため、ソーシャルレンディング事業としては機能していません。
トラストレンディングの燃料卸売事業者ファンドと動産担保付ファンドで延滞発生、6月分の分配金無し、か…。
— ニサ (@Nisanis_a) June 10, 2019
今月のトラストレンディング分配金
6,779円
遅延のせいで激減です。
数ヶ月後に事業は回復する見込みとのことですが期待はしません。
ソシャレンする以上損害は仕方ないと思うしかありません。— ふりまい@リピート系トレーダー (@freemysoul2020) July 10, 2019
一応、分配はされているものの激減中とのこと。
8月のSL分配金
クラウドバンク:¥4,221
SBISL:¥3,773
maneo:¥3,239
LCレンディング:¥5,062
計:¥16,295SL資金を徐々に減らしてるのもあって、先月の3万円から大幅に下がってしまった。あとはトラストレンディングが無配になったのも痛い。
— ニサ (@Nisanis_a) September 2, 2019
そして少しずつ減っていくトラストレンディングの分配金。笑えてくる。いや笑えない。
— ニサ (@Nisanis_a) July 10, 2019
一体いつまでかかるんでしょうか…。
トラストレンディング
債権買取ファンド分配金停止
→詐欺案件以外も償還無し確定か?
老後必要資金2000万なんて、こんな会社存在させてたら無理ゲーだろう、金融庁何とかせい。— 和泉 (@yhm9YjTkbTOsemO) June 10, 2019
(参考)他にトラブルを起こした会社
- maneoファミリー:ファミリー内の会社で大規模遅延
- ラッキーバンク :超悪質。自転車操業など
トラブルを起こした会社をソーシャルレンディングの貸し倒れ(デフォルト)・遅延一覧でまとめているので、危険なソシャレン会社の判断材料に利用してください。

まとめ:トラストレンディングの事件

誰でもかんたんに投資ができるのが魅力のソーシャルレンディング。
しかし、トラストレンディング以外にも何社か問題が起こっているのが現状です。
出資者を守るルールにはなっていますが、トラストレンディングのように出資者以外がグルになっているようなケースでは防ぎようがありませんね。
ソーシャルレンディングに出資をする際には、信用たる会社かどうかを見極めたいですね。
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